犬山周辺カメラ撮影ガイド 撮影及び文:青山松之(犬山市)
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(1) 木曽川の野鳥

平成八年一月初旬の日曜日、ライン大橋下流の木曽川左岸、扶桑町遊歩道は数百人の野鳥愛好家で賑わった。ミカヅキシマアジという、体長40センチほどで、頬にミカヅキ型の白斑があるオスのカモが日本で初めて発見され、新聞に載ったからだった。
この鳥は北米と中南米を行き来しているが、間違って日本へ来てしまったらしい。元日にこの鳥をみつけたのは、日本野鳥の会岐阜ブロック、伊藤恭博さんで、同氏は昭和五十九年にもコウライアイサを初確認しており、今回二度目であった。

 
ミコアイサ(パンダガモ)   飛び立つカモの群れ

 
 このあたりでは例年、十二月から三月頃まで、北方から多数のカモ類が飛来し被写体の少ない冬場を楽しませてくれる。多く見られるのは、マガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、キンクロハジロなどで、カモ類は一般にメスよりオスが派手で美しい。カワアイサのオスは、頭は濃い緑であるが、体は真っ白で大きく、木曽川の中流にいてもよく目立つ。小型のミコアイサは白い体に目のまわりだけが黒く別名パンダガモとよばれている。ミコアイサは日本モンキーパーク南の徳ケ池でもみかけることがある。残念ながらアイサ類は数が少ない。最も人気のあるオシドリは、桃太郎神社の上流、栗栖の岩場に若干いるが、よほど慎重に近づかないとすぐ逃げられてしまう。カルガモ、カンムリカイツブリ、コサギ、アオサギ、カワウなどは留鳥で年中みられる。カワウは近年数がふえ、数百羽が群れをなして飛んでゆくのをみることがある。上流の可児市今渡ダムでもカワウの群れがみられる。なお、鵜飼で使う鵜はウミウで羽は真っ黒、カワウはよく見ると茶色である。扶桑町遊歩道の岸辺では、水鳥だけでなく、セグロセキレイ、キジバト、ツグミ、時としてカワセミ、キジなどにも出会うことができる。

ライン大橋から10キロほど下流の岐阜県川島町にサギ類の繁殖地がある。エーザイ川島工場北側の堤防沿いの松林で、近年、宅地開発され、狭くなったのが残念である。三月頃から、一番大きなアオサギが河原から枝を咥えてきて、松のてっぺん近くに巣を作り始める。四月からは、白鷺(ダイサギ、チュウサギ、コサギと三種類いる)、頭や背が黒いゴイサギ、頭や羽の一部が薄茶色のアマサギなどがやや低い雑木林に思い思いに陣取って巣を構える。巣の材料やエサの魚を運ぶため、河原との間を頻繁に往復する。やがて産卵し、抱卵し、雛が生まれてくる。雛は夏になるまでに飛べるようになり、この繁殖地からいなくなるが、この間、風雨の強い日もあり、卵や雛を狙うカラスや野良猫もいる。弱い雛は、元気のよい雛にエサを横取りされて痩せている。親でも働きの悪い親もいる。野鳥観察はキレイ、カワイイというだけではない側面を知らされる。雨天でもない限り、午前でも午後でも(斜光がよいが)、さまざまな生態、姿態、情感を伴った写真が撮れる。(なお、「日本野鳥の会」は雛の写真を撮らないよう呼びかけている。)
5月のダイサギ

 

十数年前のこと、伊木山前の木曽川右岸で、一枝に止まった三種類のサギを撮った。
たまたま来合わせた近くの少年自然の家指導員によると、コサギ、アオサギ、ゴイサギとのことで、この辺では50種類以上の野鳥が見られるという。花でも鳥でも、新しい名前を覚えるとそれだけ人生が豊かになったような気がするものだ。それ以来、図鑑で勉強したり、詳しい人に聞いたりして知識をひろめた。そして退職金で望遠レンズのキャノン300ミリ・F2.8を買い、二倍のエクステンダーをつけて600ミリとし、木曽川へ通うことになった。このレンズを最初に使った日、アユを咥えたアオサギが撮れ、感激したことが忘れられない。
早春の飛翔  

 写真撮影の決定的瞬間とは、構図と光と感情の一致した瞬間とのことだが、野鳥撮影は出会いがポイントかと思う。運とツキにもよるが、粘り強く通うのが一番である。珍しい種類をみつけるのか、変わった生態を切り取るのか、情感あふれるネイチャー写真を狙うのか、風景写真の一部に取り込むのか、人によって意図、目的はさまざまだが、どんなチャンスに出会えるかわからない。まずは心の用意・・・期待感、緊張感を持続したい。撮影にあたっての留意点をいくつか挙げてみよう。

(1)機材:対象が小さく、遠方なので望遠レンズは必須である。木曽川本流では500ミリ以上がほしい。参考までに、一眼レフのデジカメ、例えば、キャノンD30はすべてのレンズに1.6倍の望遠効果があるので助かる。相手が動くので、合焦速度の速いAF一眼レフもほしい。ボケないようシャッター速度を早くしたいので、ASA400とか800とかの高感度フィルムがよい。
大きく重い望遠レンズを支える頑丈な三脚も要る。このように野鳥撮影の泣き所は金がかかるところにあるしかし、欲をいえばきりがないので、時間をかけてそろえるより仕方がない。

(2)よい撮影ポイント:付近にどんな野鳥がいるか、できれば双眼鏡などで丁寧に探す。次に、邪魔な電線、看板、煩雑な背景などのない、狭い意味での「撮影ポイント」を見つけたい。

(3)露出補正など:順光か逆光か、空が大きいか、日陰が多いかなどで、前もって露出補正をしておく。特に水鳥の撮影は周囲が水ばかりであるが、季節、天候、時刻により色彩がさまざまに変化するので注意したい。事後に、Photoshopなどのソフトを使ってパソコン処理をする場合は、トリミングも色調調整も自由にできて便利であるが、あまりいじりすぎないほうがよいように思われる。

(4)集中力の持続:
被写体はよく動くので、いつシャッターボタンをおすか、ファインダーから目を離せない。集中力を持続させねばならない。体調にもよるが結構疲れるものです。
難しいことを言い出すときりがないが、そもそも野外に出かけることは、気分転換になるし、健康にも良い。なかなか傑作は撮れないが、自然界の不思議にも触れられるし、メカもいじれるし、同好の士に出会うことも出来る。皆様にも是非野鳥を楽しんでいただきたい。

 
カワアイサ
カワウ・今渡
          
ゴイサギ飛翔
シジュウカラ